THAT'S 法政二!

高校授業紹介18 -高2 歴史総合-

高等学校
THAT'S 法政二!

 現代社会においては答えが1つではない複雑な課題を、他者と協力しながら解決していく能力が不可欠になります。このような社会を見据え法政大学第二中・高等学校では、全教科にわたる幅広い教養を身に付けつつ、さらに、知識を獲得するにとどまらず、知識を用いて「自ら論理的に思考し、他者に表現することができる力」の育成を目指しています。具体的にどんな授業が行われているのか、今回はある日の社会科(高校2年歴史総合)の授業を見てみましょう。

Q.今日の社会科の授業では、どんなことに取り組んでいますか?

 今日は、第一次世界大戦について独自教材(プリント)をもとに、生活班で協力して調べていく作業に、生徒たちは取り組みました。歴史総合では、これまでの座学型の授業だけでなく、生徒たちで課題に取り組んで、自分なりの回答を導き出していくことも、授業の一環に置いています。今回は、連合国側のイギリスのポスターや、これから連合国側の一員として参戦していくアメリカ合衆国のポスターを教材に、プリント学習に取り組んでもらいました。

 当日生徒が取り組んだプリント(一部)の一例は次の通りです。ここで問われているのは、「問1:女性が男性に対して兵役を促しているポスターを全て選んでみよう。問2:戦費を賄うために、寄付や戦時公債の購入を求めるポスターを全て選んでみよう。」となります。それでは、皆さんも考えてみてください。

Q.社会科では、このような取り組みをもとにして、どのような力を身に着けてほしいですか?

 生徒たちは、英文の読み取りに力を入れていきます。①は「イギリスの女性たちは言う、『(イギリス男性たちよ、戦場に)行け!』と。」という直訳になりますが、学習内容と前後の文脈で( )内で補った内容が見えてきます。②は「あ~(GEEは、Ohに相当)、私が男性だったら、海軍に参加するのに!(実際には参加できないので、合衆国の男性は海軍に参加しよう[まさに仮定法の過去ですね!]。)」というように、①も②も女性を用いて男性に兵役につくように促すポスターであることが分かります。戦争でも性的役割分担が行われているなど、ジェンダーの視点にも気がついてほしいところです。③は、「あなたの5シリングを貸して!そしてドイツをやっつけよう!」というところでしょうか?④は、「もしもし私、リバティ(自由の女神)!(戦争のために)10億ドルが必要なの!今すぐ必要なの!」…って今更のように「オレオレ詐欺」を彷彿とさせるフレーズですね。

 生徒たちは、最初は直訳ですが、前後関係を授業で理解することで、訳で( )で補ったような具体性に気がついていきます。教材の英文が、時代背景を知る中でリアルになっていく瞬間です。各国が、初の「総力戦」である「世界大戦」を戦い抜くために、持てる経済力生産力をつぎ込むのは当然のことですが、性別も問わずになりふりかまわず、国民を戦争に駆り立てていた様子が見えてくることになります。社会科は総合力が問われる教科です。グラフの読み取りや、史資料の読み取りは、数学的な見地や国語力、外国語の能力も必要とされます。本校の社会科では、中高6年間の共通課題として、複雑な現代社会や世界の有り様を構造的、歴史的に考えながら科学的にとらえる力を養い、主権者にふさわしい基礎学力と社会認識を獲得することで、様々な課題を自覚し、解決する能力を持つ生徒を育てることを目標にしています。基礎的な内容については、精選されたカリキュラム内容に応じて、座学を通じて学ぶと同時に、班活動など自主的集団的な学習(今回ような取り組み)を通じて、自分たちで調べたことを、まとめて他者と共有していきます。またこれ以外にも、他の学年で、歴史新聞の作成や班発表など、様々な調べ学習に取り組んでいます。このように、本校では、ともに学び合いながら協力して課題に取り組む機会を設けて、自ら学ぶ姿勢を一人一人の生徒に求めていきます。

 いかがでしたか? 法政大学第二中・高等学校ではこのほかにも様々な工夫がこらされた授業が行われています。今後もいろいろな授業について紹介していきたいと思います。

※授業における取組の内容については、年度によって変わることがあります。