現代社会においては答えが1つではない複雑な課題を、他者と協力しながら解決していく能力が不可欠になります。このような社会を見据え法政大学第二中・高等学校では、全教科にわたる幅広い教養を身に付けつつ、さらに、知識を獲得するにとどまらず、知識を用いて「自ら論理的に思考し、他者に表現することができる力」の育成を目指しています。具体的にどんな授業が行われているのか、今回はある日の高校1年生の公共の授業を見てみましょう。
Q.今日の公共の授業では、どんなことに取り組んでいますか?
今日の授業では、夏休み課題『3学期班発表に向けた「個人文献調査」のまとめ』に取り組みました。1学期に学習したSDGs17の目標を組み合わせて、班ごとのテーマに沿った様々な問題の実態や課題、解決の方策などを調べました。
事前調査の重要性は言うまでもありませんが、質の高い発表をするには班員一人ひとりが発表の仕方・表現の仕方を工夫する必要があります。今後の授業では、必要な資料を正確に読み解くとともに、それらをまとめ、教員や班員と対話・協同しながら班のテーマを追求し発表する準備に取り組んでいきます。また、意見が分かれる問題について討論し、自分の考えや他の生徒の考えを出し合いながら問題の理解を深めるグループワークを行います。これまでの「学習」と自らの関心に基づいてテーマや「問い」を設定し、それに対する仮説を立て様々な資料、フィールドワークの結果などを組み合わせて「問い」に対する答えを導き出し、最終的にそれを論理的な文章に仕立て、調べた内容をポスター(模造紙)にまとめてクラス内で班としての発表を行います。
このように公共の授業では、知識はもちろんのこと、それぞれの学問特有の「見方・考え方」、さらには地図、統計、史料などを読み解いたり、個人やグループで発表したりする「技能」を身に着けることを目標としています。
夏休み課題「3学期発表に向けた『文献調査』のまとめ」のグループワーク
夏休み課題「3学期発表に向けた『文献調査』のまとめ」のグループワーク
Q.社会科では、このような取り組みをもとにして、どのような力を身に着けてほしいですか?
高校社会科の学習は、突き詰めていけば現在の「社会」についての学習です。たとえ歴史の科目であったとしても、それは「現在の社会をよりよく理解するために過去を知る取り組み」と言うことができます。そして学習を通じて理解した現在の「社会」は、必ずしもベストなものではなく、多くの問題があることに気がつくでしょう。その「問題」だとか、「変えなくていけない」という意識、つまり「問題意識」を大切にしています。
また高校社会科の学習内容は、大学の文系学部で学ぶ人文科学や社会科学の学問、例えば哲学、歴史学、考古学、地理学、文化(社会)人類学、政治学、法学、経済学、経営学、社会学などの学問に直結します。法政二高の社会科で行われる様々な取り組みでは、「問い」に向き合い、それに答えていく作業が繰り返されていきます。この作業を通じて学習が深まると、「なぜ?」、「どうして?」、「すごい!」などの気持ちが皆さんに湧き上がってくるはずです。この気持ちも是非大切にしてほしいと思います。それはやがて、上記の「問題意識」とともに、大学のより高度な学びなどで自分が突き詰めたい「問い」になっていくのです。理系学部を志すとしても、社会科の学習を通じて身に着けることができる社会に対する問題意識があれば、大学で学ぶ学問領域で自らが追求する課題を見つけることができます。
法政二高社会科の幅広い学びのなかで、大学で追求できる自らの「問い」を是非、見つけてほしいと考えています。
3学期発表の様子(※昨年度)
3学期発表の様子(※昨年度)
いかがでしたか?法政大学第二中・高等学校ではこのほかにも様々な工夫がこらされた授業が行われています。今後もいろいろな授業について紹介していきたいと思います。
※授業における取組の内容については、年度によって変わることがあります。