THAT'S 法政二!

高3選択講座リレー3 ~世界史特講 ージェンダーとセクシュアリティから見る近現代史ー ~

高等学校
THAT'S 法政二!

 法政二高の高校3年生は、1~2講座の「必修選択講座」を履修します。この必修選択講座は、各教員が専門性をいかして講座を開く大学のゼミのような少人数の授業です。多種多様な講座の中から、生徒が自らの興味・関心や問題意識に応じて講座を選択し、より広く深く学習することができます。
 今回は、社会科の講座として開講されている「世界史特講 ージェンダーとセクシュアリティから見る近現代史ー」について紹介します。

Q.世界史特講はどんなことを勉強する講座ですか?

 歴史とは「現在と過去との対話」と言われます。つまり現在の私たちの視点が変われば過去は全く違うものにみえてきます。高校で学ぶ歴史の科目(世界史、日本史)は、研究の進展よりはむしろ政治・社会情勢にあわせてカリキュラムや教科書が改訂されてきました。しかしそれらが基本的にシスジェンダーでヘテロセクシャルの(性自認と体が一致している異性愛の)男性中心の歴史であることについては一貫しています。例えばシスジェンダーでヘテロセクシャルの男性の自由と政治参加を可能したフランス革命が歴史教科書に記述されないことはありません。しかしより多くのその他の性の人びとの自由や政治参加がいつどのようにして実現したかについて、教科書はほとんど語っていません。この世界史特講では、高校2年生までの学習で形成してきた歴史認識を相対化し、「性」(ジェンダーやセクシュアリティ)という視点から近現代史を見直すことを目的としています。また、切れ味の鋭い「性」という視点で一貫して考えてゆく本講座の取り組みを通じ、受講生が社会を批判的に分析する方法を身につけることも期待しています。

Q.世界史特講の特徴的な取り組みについて教えてください。

 本講座では「サフラジェット」、「からゆきさん」、「ココ・シャネルの『スタイル』」、「性科学研究とリリー・エルベ」、「フェミニズム第二波」、「メンズリブ」、「イスラーム世界のジェンダー」、「複合差別」など、近現代史の「性」に関わる非常に重要な問題群を映画を通じて学んでいきます。映画はストーリーと表現手法によって問題を象徴的に描くので、その理解の助けとなります。しかし必ずしも「史実」には忠実ではないので、鑑賞前の学習においては生徒がグループワークで文献とともに視覚・聴覚・嗅覚など使って様々な史資料からも理解を深めます。例えば「匂い」の歴史についてもジェンダーの視点から分析します。鑑賞後の学習でもグループワークを行い、感動を共有するのはもちろんのこと、教員が予め示していた鑑賞ポイントや生徒自身が気づいたこと、そして歴史としてどのように記憶されるべきかについて意見を出し合います。年間で鑑賞する映画は古今東西の「名作」8本です。担当教員としては古い映画を高校生が理解してくれるか心配したこともありますが、「名作」はどんなに時間が経っても色あせることはないようです。

 いかがでしたでしょうか?今回の「世界史特講 ージェンダーとセクシュアリティから見る近現代史ー」を含め、法政二高では例年40~50 個もの必修選択講座が開かれていて、それぞれ工夫がこらされた授業が展開されています。

 今後もさまざまな選択講座について紹介していきたいと思います。
※開講される選択講座や、その内容は年度によって異なります。